Hiromi Kawano_川野宏美

Hiromi Kawano 川野宏美

川野宏美は、写真を撮り多重露光作品を制作することで救われてきた。
多重露光という表現手法に出会ったのは2015年。写真をオーバーラップさせることで現れる予想外の世界に夢中になった。好奇心から始まった制作は、やがて不安や悲しみから心を守り支える存在になっていく。
両親の他界や自身の病気など人生の大きな変化の中で、「この写真が撮れたから、この作品ができたら、明日も大丈夫」だと信じた。
2023年1月、能登半島地震の映像を見た彼女は、言いようのない不安の中で一対の作品を制作する。1点目には力強いダリアを、2点目には白鷺を配置したとき「私も家族も世の中も大丈夫」と感じた。後に気づく。無意識に選んだダリアは母で白鷺は父。
これからも彼女は写真を撮り作品を制作し続けていく。それは日々の平穏を願う祈りに似ている。
主な展示にFOCUS Art Fair Paris 2022、Artexpo New York 2024がある。