Orange Gate 矢部裕輔展によせて
つくりたい作品は自分が本当に欲しい作品、欲しい作品が無いからつくるという想いで彫刻を作る。
とはいえ一方で、自分の「思い通り」にできた作品ほど、つまらないものはないという事もある。そうならないよう、極力「自分の思い通りにならない」 結果が生み出される事を心掛ける。
その為には、できるだけ道具は使い難い方が良い。例えば大きな鉈で木をザクザクと彫り刻む。時にはドリルの刃で削るようにグリグリと木を彫ったり。 鉈は彫刻を彫るには重く、繊細な作業に向かないし、ドリルは本来ならば穴を開けるためのもの。彼らは「私の意思」に素直には従がってくれない。
完成した時、自分が「欲しかったもの」からやや外れたところにあるくらいが良いのかもしれない。
人間とはなんなのか?
この問いをテーマに、「人」と、「人間社会」が持つ「物語」 を彫刻にしたい。
純粋無垢、可愛いようでいると同時に怖かったり、変な 「彫刻」たち。
願わくば、思わずぷっと笑いたくなるものを作りたい。
2025年9月
矢部裕輔